
父祖父の時代から永年のお付き合いがあった小門前商店とのお取引が事情によって無くなってから、佐柄真一氏をご紹介いただいた。ある時「こんな、たわしがありますよ。」と棕櫚(※シュロ)たわしを見せてもらった。初めて見る棕櫚たわしの美しさと手触りの良さに魅せられて直ぐに納品をお願いした。
たわしは、明治40年に西尾正左衛門によって考案され、当時の原料はシュロが主流であった。時代の流れの中で近年はパーム、化学繊維が大半を占めている。
佐柄氏の作るたわしは九割以上が、シュロが原料であり、その品質の良さは作り手が保障している。40年のキャリアを持つ氏は現在葛飾区の伝統工芸士であり、品質の良さと確かな技術から作り出されるたわしは、真に「職人の作る逸品」である。
(※シュロ=ヤシ科の常緑高木、幹の周りを覆う繊維のこと。多くが中国産である。現代のほとんどのたわしの原料がパームであり、これはスリランカ産のヤシの実の皮を利用している。)